react-infinite-scroll-component の技術的評価

指定された2つのパッケージ名は完全に同一（react-infinite-scroll-component）であり、実際には1つのnpmパッケージを指しています。このため、通常の「比較」ではなく、そのパッケージの技術的特性と使用上の考慮点を深掘りします。

📦 パッケージの正体と現状

react-infinite-scroll-component は、Ankeet Maini氏によって開発・公開されている無限スクロール用Reactコンポーネントです。公式npmページおよびGitHubリポジトリを確認したところ、非推奨（deprecated）ではないものの、最新のメジャーバージョン（v6以降）ではメンテナンス頻度が低下している傾向があります。ただし、基本的な機能は安定しており、多くのプロダクション環境で利用されています。

⚠️ 注意：この比較では、同一パッケージが2つ指定されているため、代替選択肢としての比較は行えません。実際のプロジェクトでは、react-intersection-observer や @tanem/react-infinite-scroller など他の選択肢も検討すべきです。

🧩 基本的な使い方とAPI設計

このコンポーネントは、非常にシンプルなProps APIを提供します。主なプロパティは以下の通りです：

• dataLength: 現在読み込まれているアイテムの総数
• next: 次のページを読み込む関数
• hasMore: さらに読み込むデータがあるかどうか
• loader: 読み込み中の表示要素
• endMessage: 全てのデータを読み込んだ後のメッセージ

import InfiniteScroll from 'react-infinite-scroll-component';

function MyList({ items, loadMore, hasMore }) {
  return (
    <InfiniteScroll
      dataLength={items.length}
      next={loadMore}
      hasMore={hasMore}
      loader={<div>Loading...</div>}
      endMessage={<p>これ以上ありません</p>}
    >
      {items.map(item => (
        <div key={item.id}>{item.name}</div>
      ))}
    </InfiniteScroll>
  );
}

🔍 内部動作とパフォーマンス特性

このコンポーネントは、内部で scroll イベントと getBoundingClientRect() を使用して、スクロール位置が閾値に達したかを判定します。デフォルトでは、コンテナの下端から 約150px 手前で next コールバックを呼び出します。

重要なのは、スクロールイベントが高頻度で発火するため、内部でthrottle処理が行われていない点です。大量のアイテムをレンダリングする場合、スクロール時のパフォーマンスに影響が出る可能性があります。また、モバイルデバイスではスクロールイベントのタイミングが不安定になることもあり、読み込みが遅れるケースがあります。

🛠️ カスタマイズ性と制限

閾値の調整

読み込み開始位置は scrollThreshold propで調整可能です：

<InfiniteScroll
  scrollThreshold="200px" // または 0.8（ビューポートの80%）
  // ...
/>

スクロール対象の指定

デフォルトではウィンドウ全体のスクロールを監視しますが、特定の要素内でのスクロールを監視することもできます：

<div id="scrollableDiv" style={{ height: '400px', overflow: 'auto' }}>
  <InfiniteScroll
    scrollableTarget="scrollableDiv"
    // ...
  >
    {/* コンテンツ */}
  </InfiniteScroll>
</div>

制限事項

• 水平スクロールには非対応：縦方向スクロール専用です。
• 仮想化との併用が難しい：react-window や react-virtualized と組み合わせる場合、スクロール監視の競合が発生することがあります。
• 初期読み込み時の挙動に注意：dataLength が0の場合、最初の next 呼び出しが自動で行われないため、マウント時に手動で1回読み込む必要があります。

💡 実践的な使用例とベストプラクティス

初期データの読み込み

function UserFeed() {
  const [items, setItems] = useState([]);
  const [hasMore, setHasMore] = useState(true);

  const fetchMoreData = async () => {
    const newItems = await api.fetchPage(items.length / 10 + 1);
    setItems(prev => [...prev, ...newItems]);
    if (newItems.length === 0) setHasMore(false);
  };

  // 初期読み込み
  useEffect(() => {
    fetchMoreData();
  }, []);

  return (
    <InfiniteScroll
      dataLength={items.length}
      next={fetchMoreData}
      hasMore={hasMore}
      loader={<Spinner />}
    >
      {items.map(item => <UserCard key={item.id} user={item} />)}
    </InfiniteScroll>
  );
}

エラーハンドリングの追加

このコンポーネント自体はエラーハンドリングを提供しません。そのため、以下のようにラップして再試行UIを実装するのが一般的です：

function SafeInfiniteScroll({ children, onLoadError, ...props }) {
  const [error, setError] = useState(null);

  const safeNext = async () => {
    try {
      await props.next();
      setError(null);
    } catch (err) {
      setError(err);
      onLoadError?.(err);
    }
  };

  return (
    <>
      <InfiniteScroll {...props} next={safeNext}>
        {children}
      </InfiniteScroll>
      {error && (
        <button onClick={safeNext}>再試行</button>
      )}
    </>
  );
}

🆚 同様の要件に対する代替アプローチ

react-infinite-scroll-component が唯一の選択肢ではないことを認識することが重要です：

Intersection Observer API を直接使う

より細かい制御が必要な場合は、ブラウザ標準のIntersection Observerを直接使う方法があります：

function useInfiniteScroll(callback, deps = []) {
  const sentinelRef = useRef(null);

  useEffect(() => {
    const observer = new IntersectionObserver(entries => {
      if (entries[0].isIntersecting) callback();
    });

    if (sentinelRef.current) observer.observe(sentinelRef.current);
    return () => observer.disconnect();
  }, [callback, ...deps]);

  return sentinelRef;
}

// 使用例
function MyList() {
  const sentinelRef = useInfiniteScroll(loadMore);
  return (
    <>
      {items.map(item => <div key={item.id}>{item.name}</div>)}
      <div ref={sentinelRef} />
    </>
  );
}

この方法は依存関係を減らし、パフォーマンスを向上させますが、ローディング状態やエラーハンドリングはすべて自分で実装する必要があります。

📌 まとめ：いつ使うべきか

react-infinite-scroll-component は以下のようなケースで有効です：

• 短期間で無限スクロールを実装したい：数行のコードで機能を追加可能
• 複雑なカスタマイズが不要：標準的な縦スクロールリストに十分対応
• 軽量さを重視：バンドルサイズが小さく、依存関係が少ない

一方で、以下のような要件がある場合は代替手段を検討すべきです：

• 高性能な仮想化リストが必要 → react-window + カスタム無限スクロールロジック
• 水平スクロールやグリッド対応が必要 → react-intersection-observer を活用
• 細かいパフォーマンスチューニングが必要 → Intersection Observerを直接使用

最終的には、プロジェクトの規模・要件・メンテナンスコストを総合的に判断し、最適なアプローチを選んでください。